■セミナー内容
第1部:3Dプリンティング技術と業界の発展
第2部:3Dプリンティングによる自動車業界への応用例
第3部:「オンラインセミナー」での質疑応答
Q1:柔らかい或いはゴム系のフィラメントを教えてください。
熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の2種類に分類できます。熱硬化性樹脂は性質上3Dプリンター用フィラメントにすること困難な為、熱可塑性樹脂が採用されています。例えばTPU、ナイロン、TPEです。Nike、Adidas、Under Armourなどのスポーツ用品ブランドは、3Dプリンターを採用し、靴底などを造形しています。
Q2:Polymakerのフィラメントはどの技術が適していますか?
熱溶解積層法に力を注いでいます。
この方式は、今後、大量生産に応用される可能性が高いと考えており、私たちは、フィラメントの安定した性能を確保しながらも、3Dプリンターで使えるフィラメントの種類の幅を広げ、量産に応用できるよう日々開拓しています。
Q3:金属鋳造に使えるPolyCastは、研磨過程で化学反応が起こるのでしょうか?
化学反応はありません。
別売のPolysher(表面加工機)を使用して、造形物に霧状のアルコールを吹き付け、表面を磨きます。
Q4:金属や金型製作に対応した商品を紹介してください。
残念ながら弊社は金属は専門外です。
知る限り、Bugatti社では金属用3Dプリンターで直接クランプを製造しています。BMW社「i8シリーズ オープンモデル」の屋根の支柱部分も金属用3Dプリンターで製造されています。金属用3Dプリンターは非常にコストが高いと言えます。
もう一方で、金型製作に応用されることが多いのですが、直接金型を作るというよりは、冷却機構や入れ子を作るなど、コストや製造過程に対して見合った使い方をしています。
Q5: 繊維強化フィラメントの応用例を教えてください。
3Dプリンターの構造上、カーボンクロス(炭素繊維織物)は造形できませんが、2種類方法があります。
一つ目は、Markforged社が代表例で、1つのヘッドでナイロンを造形しながら、もう1つのヘッドにカーボンファイバーやガラス繊維を織り込んで、強度を併せ持つ造形物を出力する方法です。
二つ目は、弊社のPolyMide PA6-CFやPolyMide PA6-GFのように、ナイロンにカーボンファイバーやガラス繊維を配合したフィラメントを製造し、3Dプリンターで出力する方法です。
Q6:3Dプリンターで出力した造形物の強度は、一般プラスチックと比べてどうでしょうか?
我々言う、熱溶解積層法の3Dプリンターでは、層間接着性が弱く、強度に不安が残ります。
その不安を少しでも解決する為、顧客のニーズを把握し、それに見合ったフィラメントを提案している状況です。
Q7: フィラメントの環境への影響を教えてください。
PLAはポリ乳酸樹脂と呼ばれ、主な原料はトウモロコシです。土壌中で分解できる環境に優しい材料です。
PCやナイロンなど、それ以外のフィラメントは、従来の一般的なプラスチックと扱いが同じです。弊社は、環境保全に向けて、より一層安心安全なフィラメントを開発したいと思います。
Q8: 造形にあたり、3Dプリンターとフィラメント、どちらに依存されやすいのでしょうか?
弊社はフィラメントを製造している会社ですが、3Dプリンターも技術の1つとして考えています。先に述べたように、個々のニーズによって、3Dプリンターもフィラメントも使い分けが必要な世界です。どちらに依存されやすいかは使い方によります。
Q9: 3Dプリンターを使用した複合材料成形について教えてください。
アメリカのオークリッジ国立研究所によると、従来のプラスチック射出成形はより小さいサイズになると、ッコスト的に採算が合うが、5m以上の大きいサイズは3Dプリンターで製作した方がコスト的には断然安く済むとの事である。
3Dプリンターの難点を申し上げれば、ヘッドから押し出されるフィラメントの流量調整、ヘッドの動きに正確なプログラミングを与えないと、失敗に繋がりやすいですが、このオークリッジ国立研究所では、3Dプリンターを使って、実際に3mから十数メートルのものまで造形しており、生産期間も、従来の製法では数週間かかっていたものが、数日で製造しているとの事です。
第1部:3Dプリンティング技術と業界の発展
第2部:3Dプリンティングによる自動車業界への応用例
第3部:「オンラインセミナー」での質疑応答